【独習】ゼロから 一歩ずつ 物理の見方・考え方 Home

力学

3 運動量保存則とは何か?なぜ、どのような条件で成り立つのか?

たとえば、質量Mの小球(紫)が、質量mの小球(オレンジ)に衝突する例を考えてみましょう。このとき、のちに示すように、二つの小球の運動量の和(←ベクトルとベクトルの和)は、衝突の前後で変化しないことが知られています。運動量の和が保存するということで…

コラム 「運動量」と「エネルギー」は兄弟?その2

上で、エネルギーと仕事の関係と、運動量と力積の関係を見ました。確かに似ていますが、これだけでは兄弟とは言えないかもしれません。 しかし、実は、これらは生まれもとても似ているのです。 突然ですが、我々は4次元の中に住んでいます。空間3次元と時…

コラム 「運動量」と「エネルギー」は兄弟?その1

「運動量」と「エネルギー」は兄弟のようなものです。 エネルギーと仕事の関係が次のように表されていたことを思い出しましょう。 「物体のエネルギーの変化は、物体がされた仕事に等しい」 これは運動量と力積の関係にとても良く似ています。 「物体の運動…

2 力積と運動量の関係は?

力積と運動量の関係は次の通りです。これは、この単元を理解するためにとても重要なので、覚えてください。まずはこれを導出してみましょう。 「物体の運動量の変化は、物体が受けた力積に等しい。」 2.1 力積と運動量の関係を運動方程式から導いてみる ここ…

1 力積、運動量とは?

まずは力積を考えてみましょう。力積は英語でImpulseというので、あだ名は$I$です。ベクトル量なので、$\overrightarrow{I}$と表すことが多いです。 力積$\overrightarrow{I}$の定義は、物体が受けた力$\overrightarrow{F}$と力を受けている時間$\Delta t$と…

保存量2 運動量保存の法則

運動量保存則 目次 はじめに(⇐今ここ!) 1.力積、運動量とは? 2.力積と運動量の関係は? 2.1.力積と運動量の関係を運動方程式から導いてみる 2.2.「物体の運動量の変化は、物体が受けた力積に等しい」とはどういうこと? コラム 「運動量」と「エネル…

1.7 エネルギー保存則を理解すると分かること

1.7.1 演習問題 1物体しかないとき 図のように床と斜面がつながれている。床のAB間はあらいが、他はなめらかである。床の一部分にばね定数$k$ のばねをつけ、一端に質量$m $ の物体を押し当てて、ばねを 縮めた。AB間の物体と床との間の動摩擦係数を $\mu' …

1.6 力学的エネルギー保存則はどんなときに成り立つの?

力学的エネルギーとは、運動エネルギーと位置エネルギーの和のことを言います。 ある物体のエネルギーを考えたとき、その物体が持つエネルギーが熱や光などのエネルギーに変わったりしなければ、物体の力学的エネルギーは保存します。これを力学的エネルギー…

1.5 それぞれの種類のエネルギーどうやって計算するの?の導出

冒頭にも述べたようにエネルギー保存則は、人が決めたものではありません。自然がそのような性質を持っているということを人間が発見したものです。そのため、まずは、どのようにして発見したのかという説明をしたいと思います。 教科書を見ると、エネルギー…

1.4 「仕事」「エネルギー」はどうイメージしたらいいのか?

仕事とエネルギーについてのイメージを、ジュースのイメージでまとめたいと思います。 先ほどは、仕事とエネルギーの関係をお金の出入りと残高で例えましたが、ジュースに例えるのであればどうなるでしょうか。ジュースで例えるのであれば、ジュースをコップ…

1.3 力学における「仕事」と「エネルギー」の定義は?

ここでは、「仕事」という新しい概念を紹介し、エネルギーとの関連を考えていきます。もちろん、物理学における「仕事」は、日常用語での「仕事」とは異なります。日常用語の仕事の意味をいったん忘れて学び始めましょう。 イメージとしては、押したり引いた…

1.2 様々なエネルギーの種類(参照)

先ほどのファインマン先生の例では、先ほど紹介した運動エネルギーの他、様々な種類のエネルギーが載っていましたが、力学の範囲で出てくる種類は、次の3つのみです。 ・運動エネルギーE運動〔J〕 E運動=1/2mv2 質量をm、速度の大きさをvとしたとき、1/2mv2…

保存量1 力学的エネルギー保存則

はじめに 1.エネルギー保存の法則とは何か?何が便利なのか?(⇐今ここ!) 2.様々なエネルギーの種類(参照) 3.力学における「仕事」と「エネルギー」の定義は? 4.「仕事」「エネルギー」はどうイメージしたらいいのか? 5.それぞれの種類のエネルギ…

1.1 エネルギー保存の法則とは何か?何が便利なのか?

エネルギーに関するファインマン先生の記述を読んでみましょう。ファインマン先生は、1965年に日本の朝永振一郎先生らと共にノーベル物理学賞を受賞した方で、物理学の教科書を残している他、一般の方向けの本もたくさん書いた方です。まずは、次の文章を読…

1 保存量1 力学的エネルギー保存の法則

物理を学んでいると、〇〇保存の法則とか、保存量とかという言葉が出てくることがあります。物理学で言う「保存」とは、量が増えたり減ったりせず、常に一定であるという意味です。そして「保存量」とは、増えたり減ったりせず、常に一定になる量の事です。…

3.4 運動の法則は、身のまわりの現象をどの程度、説明しうるか?

科学者は法則の応用範囲が広ければ広いほど、その法則を美しいと感じます。様々な現象を運動の法則を用いて説明することで、この法則の検証を重ねてみましょう。 なぜ重いものと軽いものは同時に落ちるのか? 重いものと軽いものを持ち、一緒に手を放すと二…

3.3.2 物体が複数の場合

例題)物体が複数のとき(その1)3つのブロックを一気に押す問題 3つの等しい質量mの物体A、B、Cを、図のように互いに接触させて水平な床の上に置いた。水平方向に大きさがFの一定の力を物体Aの左側から加えたとこところ、3つの物体は互いに接触したまま…

3.3.1 物体が1つの場合

例題)1物体のとき 質量10kgの物体に糸をつけてぶら下げ,鉛直方向に上げ下げする。重力加速度の大きさを9.8m/s2とする。 (1) 糸の張力Tが148Nのとき,物体の加速度a〔m/s2〕の大きさと向きを求めよ。 (2) 物体が一定の速さ4.0m/sで上昇しているときの糸の…

3.3 運動方程式の問題を解いてみる

前節までに、物体の運動と力について学んだ。一般に、手で台車を押すなど、物体は力を受けると動き出す。このとき、力の大きさと物体の運動の関係を学ぶ。 ここでは、「力が一定である」という条件からある物体にはたらく合力とその物体の加速度の関係式と求…

3.2 どのようにして運動方程式は導かれたか?

先ほど記載した通り、運動方程式は、人間が自然の中に発見した法則です。そのため、「なぜこのような関係になるのか?」を納得するには、「どのような実験で人間は発見したのか?」を見てみるのが一番かと思います。 中学校の授業では、”記録タイマー”と呼ば…

3章 ものの運動と力の関係について

力学の肝は「ある物体の動きは、その物体にはたらく力によって決まる」です。 今までに「力」と「物体の運動の表し方」を学びました。ここからはいよいよ、力と物体の運動の関係について学びます。 さて、一度初心に戻ってみましょう。 力学を学び始めた一番…

3.1 運動の法則と運動方程式

ここで学ぶ法則はニュートンの運動の3法則と呼ばれ、次の3つからなります。 ・第一法則:慣性の法則 ・第二法則:運動の法則 ・第三法則:作用反作用の法則(←すでに紹介済み) この第二法則:運動の法則がこの章のテーマです。 運動の法則は、言葉では次…

 2.4.2 2次元のとき(問題演習)

下の図は、放物運動と鉛直投げ上げ運動、水平方向の等速直線運動をそれぞれバーストモード(カメラの連射)で撮影した様子を表しています。この図が示す通り、放物運動は、水平方向には等速直線運動と同じで、鉛直方向には鉛直投げ上げ運動と同じです。 これ…

 2.4.1 1次元のとき(問題演習)

ものを落としたり、投げ上げたりして、ある時刻の物体の位置を答えるような問題がたくさん出題されます。教科書を見ると「座標の正の向きを上向きにとる」とか、「下向きにとる」とかが、決まり事のように書いてあるためか、座標の向きの設定方法に決まりが…

2.4 等加速度直線運動の問題を解いてみる

この単元は、物体の落下に関する問題が多く出題されます。ここで、解き方を理解してください。特に、何度も出てきているように、座標軸を用いた解法で考えていきますので、確実に理解してください。座標軸は今後も長く付き合うことになります。 2.4.1 1次元…

2.3 等加速度直線運動と大切な3つの公式

さて、ここまで理解したら、「等加速度直線運動」について考えてみます。「等加速度直線運動」とは等しい加速度で一直線上を動く運動のことです。 この単元で3つの公式が重要になってくるので、まずはその公式たちを、例題を通して導出しましょう。 例) 下…

2.2 物体の運動をどう定義し、測り、式に表し、どう図示するのか?

位置、速度、加速度の定義 時間と時刻 速度や加速度などの説明に入る前に、時間と時刻の違いについて触れておきます。似ているのですが、物理では異なる意味で使っています。具体的には、時刻はその瞬間、時間はある瞬間と別の瞬間の間の長さとして用いてい…

2.1 物体の運動の様子は、位置 OR 速度 OR 加速度で表現する

位置、速度、加速度は、普段の生活でも使っている言葉だと思いまが、物理では、これらの言葉の意味だけでなく、どのように数字で表すのかということも、正確に知っておかなければなりません。のちに出てくる定義や定義式を、まずはしっかりと覚えましょう。 …

2章 物体の動きについて

力学の肝は「ある物体の動きは、その物体にはたらく力によって決まる」です。前の章では力について学んだので、この章では物体の動きについて学びます。 等加速度直線運動 目次 はじめに(⇐今ここ!) 1.物体の運動の様子は、位置 or 速度 or 加速度で表現…

1.8.3 物体が2つのとき (2次元)(問題演習)

ここでは2つの物体を考えましょう。動きを考えたい物体が2つ以上あるときには、”相互作用”が顔を出します。物体が2つ以上あるときには、作用反作用の法則、忘れないようにしてください! 問 図のように、水平面と30°の角をなす滑らかな斜面を持つ質量Mの台A…