【独習】ゼロから 一歩ずつ 物理の見方・考え方 Home

 2.4.2 2次元のとき(問題演習)

 下の図は、放物運動と鉛直投げ上げ運動、水平方向の等速直線運動をそれぞれバーストモード(カメラの連射)で撮影した様子を表しています。この図が示す通り、放物運動は、水平方向には等速直線運動と同じで、鉛直方向には鉛直投げ上げ運動と同じです。

 これを用いて、問題を解くときには、水平方向は等速直線運動と同じであると考えて位置や速度を求め、鉛直方向は鉛直投げ上げ運動と同じであると考えて位置や速度を求めるのです。

 次の例題で考えてみましょう。

 水平面上で水平面から角度θの向きに、初速度v0で物体を投げた。重力加速度の大きさをgとする。このとき、次の各問に答えよ。



問1

初速度の水平成分vx0、鉛直成分vy0はいくらか?

問2

物体が最高点に達するまでの時間tと、その時の高さhはいくらか?

問3

投げた地点から小球が水平面に落下する地点までの距離lはいくらか?

問4

最も遠くまで飛ばすためには角度θを何度にするべきか?

(ヒント:必要があれば$2sin\theta cos\theta =sin2\theta$を用いよ)

 

 この問題もグラフを用いた方法と、3つの公式を用いた方法で解説します。

 (鉛直方向の正の向きは(どちらでもいいのですが)上向きを正として解説します)

 

グラフを用いた方法

 今回は、鉛直上向きをy座標の正の向き、水平右向きをx座標の正の向きとしましょう。この座標を用いる場合、重力加速度の向きは負の向きなので、重力加速度は「-g」と表されます。また、初速度のx成分、y成分はそれぞれ正の向きということになります。

 

問1

 速度はベクトルです。ベクトルである速度を水平方向と鉛直方向に分解せよという問題です。力の分解をしたときと同様に考え、$v_x0 = v_0 cos\theta$ 、$v_y0=v_0 sin\theta$ を得ます。

問2

 ここから図を使っていきます。今回の問題ではx方向(水平方向)とy方向(鉛直方向)の両方を考える必要がありますので、それぞれの方向でのv-tグラフを描きます。

 y方向のグラフは初速度vy0が正の値で、その後重力加速度-gによって速度が小さくなっていき、さらには速度がマイナスになっていきます(図参照)。速度がマイナスということは、速度は座標の負の向き、下向きになるということです。

 

 

 

 さて、問題に取り掛かりましょう。

 まずはy方向のグラフを見てみましょう。

 最高点に達する瞬間は、速度の向きが上向きから下向きに変化する瞬間なので、v-tグラフにおいては、x軸と交わる瞬間であるということができます。

 初速度vy0、傾き-gを考えると、最高点に達する時刻tは、vy0-gt=0という式を満たします。よってt= vy0/gと求まります。

 また、最高点の高さhは、赤色の面積を求めればよいので、$h=v_y0 \times v_y0 / g =(v_0 sin\theta)^2/g$

となります。

 

問3

 投げた地点から小球が水平面に落下する地点までの距離lを求めます。

 まず、地面に落下するまでの時間を考えると、それはちょうど2tとなります。なぜならば、地面から投げて最高点を通過し再び地面に戻るとき、y方向のグラフにおける赤色の面積(地面から最高点の距離)と青色の面積(最高点から地面までの距離)は同じになるはずですが、そのためには、青の三角形の横幅がtにならないといけないからです。

 そのため、求める距離lx方向におけるv-tグラフの青色の面積を求めればよく、答えはvx0×2tであると分かります。

 よって$l=v_x0 \times 2t = 2 \times v_0 cos \theta \times 2 v_0 sin \theta/g$



 

問4

 この問題は面白い問題だと思います。今までの問題でできた問題の答えを解釈して答えを導かなければなりません。

 先ほどの答えは、$l=2v_0^2 cos\theta \times sin \theta /g$でした。

 これは、水平の到達距離lは同じ初速度であったとしても、投げ上げる角度θによって決まるのだと解釈することができます。

 角度θによって決まる、θの関数であるということを式に表すのであれば、左辺を次のように書き換えると表現できます。

$l(\theta) = 2 v_0^2 cos\theta \times sin\theta /g$

 この上で問題に戻り、この距離lが一番大きくなる角度θを考えましょう。

 ヒントを用いると、次のように書き換えられます。 

$l(\theta) = v_0^2/g sin2\theta $

 

 ここまでくると、$sin2\theta$ が一番大きくなるのは$2\theta = 90$度、つまり$\theta = 45$度のときであることが分かります。(ちなみに、このとき$l(\theta)=v_0^2/g$となることが分かります。)

 

 

3つの公式を用いた方法

 ここでは解法の流れのみを記載します。

問1

 前述のとおりです。(グラフを用いた方法の解説を参照)

 

問2

 「最高点に達するまでの時間」⇒「速度がゼロになるまでの時間」と読み替え、

速度と時間の関係式を用いて時間を求めます。

また、速度と距離の関係式を用いて、最高点までの距離を求めます。

(もしくは、求めた時間を用いて、距離と時間の関係式から最高点までの高さを求める)

 

問3

 投げた地点から小球が水平面に落下する地点までの距離lはいくらか?

 まずは「水平面に落下するまで」を「変位がゼロになるまでの時間」と読み替え、位置と時間の関係式から小球が地面に着地するまでの時間を求めます。

 その後、水平方向には等速で動いていることを利用して、地面に着地するまでの距離を求めます。

 

問4

 前述のとおりです。(グラフを用いた方法の解説を参照)