3章 ものの運動と力の関係について
力学の肝は「ある物体の動きは、その物体にはたらく力によって決まる」です。
今までに「力」と「物体の運動の表し方」を学びました。ここからはいよいよ、力と物体の運動の関係について学びます。
さて、一度初心に戻ってみましょう。
力学を学び始めた一番最初に、「物理学は、実験や観察をよりどころにしながら、自然の性質、法則を解き明かそうとする”自然科学”の中の一つの分野」と述べました。
しかし、実は今まで学んだ範囲には、“自然の性質”や“自然の法則”と呼べるものはあまりありませんでした。今までに学び、覚えてきた式の多くは、定義や定義から導かれた公式です。
この単元で学ぶ「運動の法則」、もしくは「運動の法則」を式で表した「運動方程式」と呼ばれる式は、人々が自然の中での実験や観察を通して発見した法則であり、物理学の中でも最も大切な法則の一つです。
実は、法則が成り立つ理由は、すぐには分かりません。法則の理由を理解するためには、さらに他の法則を自然の中から見つけ、その法則によって説明することしかできません。法則は自然によって決まっているものであり、人が決めたものではないからです。より大きな法則を探し続ける旅、それがサイエンスという営みなのかもしれません。
法則とはこのようなものですので、新しい法則と出会ったときには、法則がなぜ成り立つのかを考えるよりも、まずは、その法則がどのようにして発見されたのかということに意識を向けてください。
運動の法則 目次
はじめに(⇐今ここ!)
3.1.物体が1つの場合
3.2.物体が複数の場合
4.運動の法則は、身のまわりの現象をどの程度、説明しうるか?
4.1.重いものと軽いものの落下
4.2.真空中での羽の運動、空気中での羽の運動
4.3.空気抵抗を受ける物体の運動(雨粒)
4.4.自転車の速さについての考察