【独習】ゼロから 一歩ずつ 物理の見方・考え方 Home

3.1 運動の法則と運動方程式

ここで学ぶ法則はニュートンの運動の3法則と呼ばれ、次の3つからなります。

・第一法則:慣性の法則

・第二法則:運動の法則

・第三法則:作用反作用の法則(←すでに紹介済み)

この第二法則:運動の法則がこの章のテーマです。

 

 

運動の法則は、言葉では次のようになります。

 

運動の法則:

「物体の加速度は、物体にはたらく力に比例し、物体の質量に反比例する」

また、式で表すと次のようになり、運動方程式と呼ばれています。

 

運動方程式

 $m\overrightarrow{a}=\overrightarrow{F}$

 

さらに、力、加速度が一直線上の場合には、次の式で表します。

運動方程式(一直線上の場合):

 $ma=F$

※数直線を用い、向きを正負で表すことでベクトルではなく、(普通の足し算ができる)スカラー量として扱うことができます。

 

自然の性質、法則と定義の違いって?

先ほど、今まで学んだ式の多くは定義式や公式であり、運動方程式は自然から発見された法則であると述べました。

ちょっとわかりづらい文章だったと思うので、簡単にまとめましょう。

物理で出てくる式を分類すると、次の3つに分けられます。

1,定義式(人間が決めたこと)

2,法則を表す式(自然が決めたこと)

3,公式(覚えておくと便利なこと)

 

 定義式は人がある量をどのように定義したのかによって決まってくる式です。例えば加速度$a$の定義は「単位時間($\Delta t$)当たりの速度変化($\Delta v$)」であり、それゆえ(単位に「m」、「s」を用いると)定義式が$a=\Delta v/ \Delta t$となるのです。定義式は定義をしっかりと覚えていれば自分で導くことができるはずなので、まずは言葉の定義をしっかりと覚えましょう。

 公式は定義や法則から作った、便利な式のことです。例えば「等加速度直線運動の3つの公式」で出てきたように、加速度や初速度などを文字で置いて(一般化し)、得られた関係式などです。具体的な問題を解くときには、文字の中に問題で使われている値を代入するなどして便利に使うことができます。

 そして、法則を表す式は自然の中で発見した関係を式にしたものです。これは自然が決めたものを発見しただけですので、まずは、どのように発見されたのかを意識しましょう。

蛇足ですが、科学は大きく分けると、知っている法則や定義などを組み合わせて現象を説明するか、逆に観察や実験の結果をもとに、より本質的な法則を解き明かすかといった2方向の考え方があります。

多くの皆さんが物理を学ぶ理由は、大学受験が控えているからかもしれませんが、大学受験の問題の多くは、すでに知っているいくつかの式を用いて現象を説明する、というもの(前者)だと思います。しかし、物理学を学び続ける場合には、実験結果から、より本質的な法則を探すという、もう一方の(後者)考え方も必要になります。ぜひ、大きな思考の流れを意識しながら学習を続けてください。

 

 運動の法則 目次

  はじめに

  1.運動の法則と運動方程式(⇐今ここ!)

  2.どのようにして運動方程式は導かれたか?

  3.運動方程式の問題を解いてみる

    3.1.物体が1つの場合

    3.2.物体が複数の場合

  4.運動の法則は、身のまわりの現象をどの程度、説明しうるか?

    4.1.重いものと軽いものの落下

    4.2.真空中での羽の運動、空気中での羽の運動

    4.3.空気抵抗を受ける物体の運動(雨粒)

    4.4.自転車の速さについての考察