1 力積、運動量とは?
まずは力積を考えてみましょう。力積は英語でImpulseというので、あだ名は$I$です。ベクトル量なので、$\overrightarrow{I}$と表すことが多いです。
力積$\overrightarrow{I}$の定義は、物体が受けた力$\overrightarrow{F}$と力を受けている時間$\Delta t$との積です。ベクトル$\overrightarrow{F}$とスカラー$\Delta t$の積なのでベクトル量になるのです。
$\overrightarrow{I}=\overrightarrow{F}\times \Delta t$
例えば、台車に対して一定の力$F$を$\Delta t$秒間加えたとき(右図)、力積$I$は、力の向きに、大きさ$I=F\Delta t$であると言えます(ベクトル量であることを意識するために、力と向きを表しました)。なお、これは右図における斜線部の面積になります。
※一直線上の力のみを考えているので、ベクトルではなく、スカラーとして表しています
また、自由落下したボールが床にぶつかった時に受ける力のように、力が一定でない場合(右図)、その力積の大きさは、やはりグラフの面積で表されます(毎回出てきているように、グラフの面積はタテ×ヨコです)。向きは垂直抗力の向きです。
※グラフの面積はタテ(=力の大きさ)×ヨコ(=時間)を表す
続いて運動量を考えます。運動量のあだ名は$p$です(なぜ$p$が使われるのかは諸説あるようです)。こちらもベクトル量なので、$\overrightarrow{p}$と表すことが多いです。
運動量$\overrightarrow{p}$の定義は、物体の質量$m$と速度$\overrightarrow{v}$との積です。ベクトル$\overrightarrow{v}$とスカラー$m$の積なのでベクトル量になるのです。
$\overrightarrow{p}=m\times \overrightarrow{v}$
例えば、質量$1$kgの台車が$2$m/sで動いていたら、この台車の運動量$p$は大きさ$p=1\times 2 =2 $〔kg m/s〕、向きは台車の速度の向きであると言えます。
ここでは、「なぜこのような量を考えるのか?」は置いておきましょう。「便利だから」で、ひとまず先に進みます。