1.4 「仕事」「エネルギー」はどうイメージしたらいいのか?
仕事とエネルギーについてのイメージを、ジュースのイメージでまとめたいと思います。
先ほどは、仕事とエネルギーの関係をお金の出入りと残高で例えましたが、ジュースに例えるのであればどうなるでしょうか。ジュースで例えるのであれば、ジュースをコップに注ぐこと、コップからこぼれることなどが仕事をする・されることであり、コップに入っているジュースの量がエネルギーの量であると考えることができます。
また、先ほどの積木の例では、エネルギーの種類が複数あることを、水面の高さや箱の重さで考えましたが、ジュースの例ではコップが複数あると考えるのが良いと思います。運動エネルギーが注いであるコップと、重力による位置エネルギーが注いであるコップ、弾性力による位置エネルギーが注いであるコップなどがあるということです。中身は同じジュースです。あらゆるものは様々な種類のエネルギーを持つことができるので、あらゆるものが複数のコップ(←エネルギーの種類)を持っているとイメージするのです。
例えば、台車が摩擦のない坂道を下りってくる様子を考えてみましょう。最初は位置エネルギーのコップにジュースが入っていますが、坂道を下っていくとともに、位置エネルギーのコップから運動エネルギーのコップにジュースが移っていきます。位置エネルギーは重力がしてくれるはずの仕事をエネルギーとして考えているので、坂道を下ると、重力がしてくれるはずの仕事が減った分、位置エネルギーが減り、重力が実際に仕事をした分、運動エネルギーが増えると考えられます。
続けて、坂道を下りきって平らな粗い床に来た台車の運動を考えてみましょう。摩擦を考えます。摩擦があると、摩擦によって台車は遅くなります。台車が摩擦力という力によって仕事(負の仕事)をされ、台車の運動エネルギーが減少すると考えることができます。台車の運動エネルギーのコップから、ジュースがこぼれてしまい、床の(摩擦によって生じた)熱エネルギーになってしまうのです。
このように、エネルギーを考える際には、ジュースとコップを考えると良いと思います。ぜひ、しっかりとしたイメージを持ってください。
なお、さらにイメージを膨らますには、PhETと呼ばれるシミュレーションサイトで簡単な実験をしてみるのが良いと思います。このサイトの中の「エネルギースケートパーク」と呼ばれるシミュレーターを用いると、スケートに乗った人の運動エネルギーや位置エネルギー、そしてレールの熱エネルギーが棒グラフとして可視化されていて、とても分かりやすいです。この説明におけるエネルギーのコップが、このサイトで示されている棒グラフに対応します。ぜひ、遊んでみてください。
図:PhET、エネルギースケートボードのシミュレーションより作成
力学的エネルギー保存の法則 目次
4.「仕事」「エネルギー」はどうイメージしたらいいのか?(⇐今ここ!)
5.1.運動エネルギーはどんな実験によって確かめられるのか?