「ある物体の動きは、その物体にはたらく力によって決まる」が力学の肝
物理学や、今回学ぶ力学とはどのような学問なのでしょうか?
物理学は、実験や観察をよりどころにしながら、自然の性質、法則を解き明かそうとする”自然科学”の中の一つの分野です。
そして力学は物理学の中の一つの分野です。ニュートンの運動の法則と呼ばれる法則が、力学の全てを説明します。これは、物体の動きを、その物体にはたらく力によって明らかにしようというものです。一言で言うと「ある物体の動きは、その物体にはたらく力によって決まる」というのが力学の肝です。つまり、ものが動く原因は、その物に力が働いているからである。ということや、さらに詳しく、どのような力が加えられればどのように動くのか。逆に、このように動く物体にはどのような力が働いているのか。と言ったことを明らかにしてくれます。
よく例として落下する物体の様子が取り上げられます。そして、それを見て「落下する物体の様子を説明できたとして、何がうれしいのか?」とか「物理は何のためにやるの?」といった質問を受けます。確かに時々刻々変化する落下物の位置を求めること自体は、実用的にさして意味はありません。そのこと自体に意味を求めるのではなく、もっと大きなところに目を向けてみて欲しいと思っています。
科学者たちは、より大きな法則を美しいと感じ、より大きな法則を求めます。
物理を学び始めたみなさんが、今ある知識や理解だけで、その美しさを見ることはできないかもしれません。しかし、理解が深まるとともに、徐々に力学のすごさが分かってくるはずですし、すごさが分かってくれば、同時に多くの科学者が感じているように、力学を美しいと感じられるかもしれません。なぜ多くの科学者が力学を美しいと感じるのか、そんなことも考えながら学習を進めてみてください。
力学は物理の基礎です。他の単元も力学ができていなければ難しく感じてしまうことでしょう。
このテキストの大きな流れ
「ある物体の動きは、その物体にはたらく力によって決まる」が肝なので、まずは力について、次に、物体の動きについて、最後にそれら力と物体の運動の関係について学びます。
2章:物体の動きについて
3章:力と物体の動きの関係について